能登島の海は様々な海藻や海草などが多く見られ、
まるで海の中に植物園があるような光景です。
季節が変われば野山の花が次々に咲くように、
海の中でも季節の植物を楽しむことが出来ます。
しかし、これらの海藻類も近年の海岸域の開発により、
希少となっている種類もあるのです。
その一つとして今回は「ホソエガサ」という植物を紹介いたします。
ホソエガサは環境省のレッドデータブックに絶滅危惧1類に認定され、
絶滅の危機に瀕している種として保護や観察が必要とされている海藻です。
このホソエガサが群生しているのが能登島沿岸域、
もはやこの地域にしか生息していないだろうとも言われています。
二枚貝の上に生えることから、生息域には貝類の豊富なことが条件となっています。
また、水底の砂質や水の透明度、潮流などと様々な条件が揃って初めて生息できるそう。
今や日本の各地で見られたホソエガサも水質の悪化などの影響で絶滅してしまいました。
この能登島にいまだに群生が毎年見られるということは、
とても貴重な自然環境が整っている証です。
私は水中を観察できるダイバーとして、
毎年このホソエガサが芽を出す様子を一喜一憂しながら見守り続けています。
どうか子供たちが大人になった時もこの海藻を慈しみ見つめていることを願います。