時化(しけ)の多い冬が過ぎ、春の兆しが見え始める旧正月の2月11日は「起舟(きしゅう)」と呼び、北陸地方では漁師の正月ともされています。
昔は冬の間、舟を裏返して休ませておいてそれを一斉に起こして漁に出ることが「起舟」の由来とされ、その年の大漁、安全を祈願します。
海もおだやかになるこれからがいよいよ本格的な漁の始まりです。
定置網と刺し網
能登島の漁は大体が定置網漁か刺し網漁となっています。
定置網漁は、文字通り海中の定まった場所に網を設置し、回遊する魚群を誘い込むことで漁獲します。巻き網などの能動的に魚を追いかける漁法と異なり、魚の習性を生かして自然に網に入ってくるように導きます。魚の獲りすぎを防ぎ、継続的な漁業が可能な環境に優しい漁法と言われています。
漁師さんごとに自分が仕掛ける場所は決まっていて、その場所は他の人が網を下ろすことは出来ないそうです。
刺し網漁は、獲りたい魚の通り道に遮断するように網を張り、その網目に魚の頭が刺さったり、からまったりした魚を獲る漁法です。
その日の天気予報や満潮、干潮の時刻、漁師仲間からの情報を元に長年の漁師のカンで仕掛ける場所を決めます。この網目に刺さった魚を外すのが大変で力まかせにすると網を破ることもしばしば。
補修、点検
そんな敗れた網の補修やかけ替えを年に2回ほど行います。浮きやブイについたふじつぼや海藻を取り除き、網は乾かして敗れた個所を繕います。
また海の上は危険と隣合わせです。舟の故障や海に落ちたりしないように日頃から機械の点検やライフジャケットの装着など細心の注意が必要です。
漁師さんの仕事は朝早く、労力も手間もかかりますが、たくさんの魚が獲れた時の喜びは何物にも代えられないと言います。
能登島の漁師さん達が一生懸命獲った魚を食べにこの春はぜひ能登島へ。 もうすぐ春です。
堀井愛津子
能登島に嫁いで14年となり、身も心も貫禄がつきました。漁師の宿ならではの漁業体験や魚釣りをお楽しみ頂けます。朝獲れの魚と自家製米で心を込めておもてなしします。